「告白」を読んで。
告白
明治時代に起こった河内十人斬りをモチーフとした物語。
酒、博打、女に溺れた熊太郎が紆余曲折を経て十人斬りに至るまでが描かれています。
熊太郎の思考が淡々と描写されるため、全ての行動に納得、腑に落ちますね。
さて告白を読んでいると、現代と明治の時代の変化がよく分かる。
人を呼ぶときは、自分の足で行くか、誰かに頼む。
遠くに遊びに行くときも自分の足で歩き続ける。
村で生まれ、村で一生を終える人が大半で噂は一瞬で広がっていく。村ならではの結束感や閉塞感がどことなく漂っています。
反対に現代は、LINE等で連絡をし呼ぶことができる。
遠くへ行くにも公共交通機関を利用し地図アプリを活用する。
生まれ故郷から離れ、仕事に打ち込む人もいる。
地域のつながりが減り、地方の過疎化が進んでいく。
時代は変わったものだと思います。
現代人は食うことに困らなくなったので慈悲深くなったという考察?が印象的。
実際、自分の命が脅かされている時に人の心配なんてできないよね。現代は恵まれていることがよく分かります。恵まれているからこその自分たちは何をすれば良いのか考える一冊となりました。